本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「ヤバい経済学」第2章

取引の一方がもう一方よりもたくさん情報を持っているということはよくある。経済学者の専門用語でこれを情報の非対称性と言う。私たちは、誰か(普通は専門家)が他の誰か(普通は消費者)よりもよくわかっていることが資本主義ではよくあると思っている。でも…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「ヤバい経済学」第1章

道徳的インセンティブを経済的インセンティブとぶつからせる研究が1970年代に行われた。今度は献血の背後にある動機について調べようとしたのだ。わかったこと: 献血をした人を思いやりがあると単に褒めるかわりに、彼らに少額の奨励金を払うと、献血は減る…

リチャード・バック「かもめのジョナサン」

彼はごく単純なことを話した——つまりカモメにとって飛ぶのは正当なことであり、自由はカモメの本性そのものであり、そしてその自由を邪魔するものは、儀式であれ、迷信であれ、またいかなる形の制約であれ、捨て去るべきである、と。 五木寛之 訳

リチャード・バック「かもめのジョナサン」

ジョナサンが岸にいる群れのところにもどった時には、夜もすっかりふけていた。彼は疲れはてており、目まいがするほどだった。だが、心にあふれる歓びをおさえかねた彼は、着地寸前に急横転を加えた宙返り着陸をやってのけた。みんながこのことを聞いたら、…

リチャード・バック「かもめのジョナサン」

彼は精気に満ち、歓びに身を小きざみに震わせながら、自分が恐怖心に打ち勝っていることを誇らしく感じた。やがて彼は、むぞうさに翼にたたみこみ、角度をつけた短い翼の先をぴんと張ると、海面めがけてまっさかさまに突っこんでいった。千二百メートルを過…

リチャード・バック「かもめのジョナサン」

ほとんどのカモメは、飛ぶという行為をしごく簡単に考えていて、それ以上のことをあえて学ぼうなどとは思わないものである。つまり、どうやって岸から食物のあるところまでたどりつき、さらにまた岸へもどってくるか、それさえ判れば充分なのだ。すべてのカ…

L.M.モンゴメリ「詩集 夜警」

選択人生よ 蒼白い色や灰色の身なりで私の所へ来ないでくれ そんな地味な衣装のお前は好まない 人生よ 喜びと悲しみを広く共にしたい 喜びと苦悩に満ち溢れた お前の深さを測り お前の最高の感情にまで行き着こう百姓家にお前と留まるにしろ 宮居にお前と留…

L.M.モンゴメリ「詩集 夜警」

詩人の想い 想いは 虹の夢の中に詩人に現われた 賢者の知恵と生まれた詩霊と情熱とを交えて 朝の如く輝く言葉で その想いを閉じ込めた そして 今 その想いは光る宝石となって 幾歳月もの間 光り輝く 吉川道夫 柴田恭子 訳

L.M.モンゴメリ「詩集 夜警」

遺産 私の友は私から去っていった 闇から完璧な光の中へ だが 素晴らしき遺産を残して 私の心はそれを長く持ち続けるでしょう—— 静かで 明かるい大きな理想と 奉仕のための希望の歌を 汚れなき純真な信仰心と 喜びの美しい思い—— これを私の友は私に残してい…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「超ヤバい経済学」第5章

新しいアイディアの中には、どれだけ便利であろうが、反感を買わずには済まないものがある。すでに書いたように、人間の臓器の市場は——あれば毎年何万人もの命が救われるかもしれないのに——そういう例の一つだ。 時間とともに、そういうアイディアも反感の壁…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「超ヤバい経済学」第4章

すばらしく頭の切れる合理派が、人間の性の核心にある、いかんともしがたい原則にぶつかった。人の振る舞いを変えるのは難しい。ものすごく賢いエンジニアとか経済学者とか政治家とか親御さんとかなら、安くて簡単なお悩み解決法を思いつくかもしれない。で…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「超ヤバい経済学」第3章

経済学者の言葉を借りれば、ほとんどの寄付は不純な思いやり、あるいはちょっとした満足感のための思いやりだ。助けたいから寄付をするというだけでなくて、見栄えがいいからとかいい気分になれるとか、ひょっとすると居心地の悪さが減るからとかで寄付する…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「超ヤバい経済学」第3章

寄付はマスコミの報道に大きく左右される。最近行われた、とある学術研究によると、災害救護の寄付は、新聞の報道が700語増えるごとに18%、テレビのニュースでの報道が60秒増えるごとに13%増加する。望月衛 訳

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」おわりに

人類は、ヨーロッパが18世紀以降たどってきた道筋を、精神的には逆方向に走破しなければならない。つまり、世界は無限であるという考え方から、世界は閉じているという考え方への移行だ。こうした努力は、不可能でもないし、ありえないことでもないが、ただ…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第14章

金融市場の場合では、行動様式を均質化させることが規律になっていた。すべての金融関係者がまったく同じことをやろうとしたのだ。信用金庫は銀行になろうとした。商業銀行は投資銀行になろうとした。投資銀行は投機を行なうヘッジファンドになろうとした。…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第9章

経済成長は、政府の財源を膨張させるだけではなく、個人の私的な幸せにも影響をおよぼす。1975年のフランス人は、1945年のフランス人よりも比較にならないほど裕福だが、彼らがより幸せだったというわけではない。なぜだろうか?その答えは単純だ。現代の幸…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第6章

奇妙なパラドックスが、くっきりと浮かぶ上がってきた。高度経済成長により、人々は世代間の絆を持続できると信じるようになった。福祉国家がつくりだした財政面の連帯は、家族と置き換わっていった。というのは、人々はマネーの面で独立するようになると、…

アーネスト・ゲルナー(ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第6章より)

持続的に経済成長する社会は、物質的な改善によって社会的に有害な作用をやわらげてくれる。この理想の非常に大きな弱点は、この理想が社会的な退廃によって資本をすり減らすことでしか存続できず、また、富の象徴が一時的に枯渇する時や、時代の流れが変わ…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第5章

近代社会の労働者は、自分の運命にのしかかる新たな不確実性の奴隷になったのだ。技術進歩は創造的であると同時に破壊的であり、その境界はめまぐるしく変化する。したがって、経済成長が力強い状態にあるかぎりは、社会集団が負う傷口を手当てすることは可…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第3章

経済学にとって、マルサスの法則は「陰鬱な科学」と呼ぶにふさわしかった。フランスのコンドルセなどの啓蒙思想家にとって、貧窮や災いの原因は、「悪い」人間性ではなく、悪い政府にあった。啓蒙思想に傾倒していた父をもつマルサスは、これとはまったく逆…

クリスティーナ・ロセッティ「シング・ソング童謡集」

If a mouse could fly, Or if a crow could swim, Or if a sprat could walk and talk, I’d like to be like him. If a mouse could fly, He might fly away; Or if a crow could swim, It might turn him grey; Or if a sprat could walk and talk, What wo…

クリスティーナ・ロセッティ「シング・ソング童謡集」

If hope grew on a bush, And joy grew on a tree, What a nosegay for the plucking There would be! But oh! in windy autumn, When frail flowers wither, What should we do for hope and joy, Fading together? もし きぼうが しげみにそだつなら そし…