本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

老子訳注

信言は美ならず、 美言は信ならず。 善なる者は辯ならず、 辯ずる者は善ならず。 知る者は博さず、 博す者は知らず。 聖人は積えず、 既く以て人の為にして己れは愈いよ有り、 既く以て人に与えては己れは愈いよ多し。 天の道は、 利して而うして害なわず。 …

老子訳注

敢てするに勇なれば、則ち殺され、 敢てせざるに勇なれば則ち活く。 此の両つ者或は利あり或は害あり。 天の悪む所、 孰か其の故を知らん。 是を以て聖人すら猶之を難しとす。 天の道は 争わずして而も善く勝ち、 言わずして而も善く応え、 召かずして而も自…

老子訳注

知られざるを知るは上なり、 知られざるを知らず病なり、 夫れ唯病を病とす、 是を以て病あらず。 聖人は病あらず、 其の病を病とするを以て、 是を以て病あらざるなり。 自分の無知を自覚するのが、最高なのだ。自分の無知に気づかない、それこそが欠点なの…

老子訳注

名と身と孰れか親しき。 身と貨と孰れか多し。 得ると亡うと孰れか病なわん。 是の故に 甚だ愛めば必ず大いに費え、 多く蔵えれば必ず厚く亡う。 足ることを知れば辱しめられず、 止まるを知れば殆うからず、 以て長久なる可し。 名声と生命とではどちらがよ…

老子訳注

天下の至柔は 天下の至堅を駆騁る。 有る無きもの 間無きに入る 吾是を以て無為の益有るを知る。 不言の教え、 無為の益には、 天下之に及ぶもの希し。 天下でもっとも柔弱なものは、もっとも堅強なものの中をくぐって行ったり来たりできる。この見えない力…

老子訳注

天下の至柔は 天下の至堅を駆騁る。 有る無きもの 間無きに入る 吾是を以て無為の益有るを知る。 不言の教え、 無為の益には、 天下之に及ぶもの希し。 天下でもっとも柔弱なものは、もっとも堅強なものの中をくぐって行ったり来たりできる。この見えない力…

老子訳注

人を知る者は智なり、 自らを知る者は明なり。 人に勝つ者は力有り、 自ら勝つ者は強し。 足るを知る者は富み、 強めて行う者は志有り、 其の所を失わざる者は久しく、 死して而も亡びざる者は寿し。 他人を理解する者を智といい、自己を理解する者こそ明で…

老子訳注

企つ者は立たず。 跨ぐ者は行かず。 自ら見る者は明らかならず。 自ら是とする者は彰れず。 自ら伐る者は功無し。 自ら矜る者は長かず。 其の道に在る也、 余食贅行と曰う、 物或に之を悪む、 故に道有る者は処らず。 かかとをあげて高く立とうとすれば、か…

老子訳注

「曲がれば則ち全く、 枉まれば則ち直く、 洼めば則ち盈ち、 敝るれば則ち新たなり、 少なければ則ち得、 多ければ則ち惑う」と。 是を以て、 聖人は一(道)を抱いて天下の式と為す。 自ら見ず、 故に明らかなり。 自ら是とせず、 故に彰る。 自ら伐らず、 故…

老子訳注

太上は、下之有るを知るのみ、 其の次は親しみて之を誉め、 其の次は之を畏れ、 其の次は之を侮り、 信足らざれば、 信ぜられざること有り。 悠かなる兮、其れ言を貴び、 功成り事遂げて、 百姓皆謂う、「我は自然なり」と。 もっともよい支配者、人びとはそ…

老子訳注

天下皆美の美たるを知る、 斯れ悪なり矣。 皆善の善たるを知る、 斯れ不善なり矣。 故に 有無相生じ、 難易相成り、 長短相形れ、 高下相傾き、 音声相和し、 前後相随う。 天下の人びとはみな、どのようであれば美しいとされるかを知り、そこに醜いというこ…