アーシュラ・K. ル=グウィン「ファンタジーと言葉」
話し手と聞き手の間の相互コミュニケーションは力強い行為である。個々の話し手の持つ力は、聞き手たちの同調によって増幅され、増大する。共同体の強さは、話を通じての相互的同調によって増幅され、増大されるのである。
発話が魔術的であることの理由はここにある。言葉は本当に力を持っている。名前には力がある。言葉は話し手と聞き手の両方を変容させる。言葉はエネルギーを話し手から聞き手へ、聞き手から話し手へと伝え、それを増幅させる。言葉は理解や感情を話し手から聞き手へ、聞き手から話し手へと伝え、それを増幅させる。
青木由紀子 訳