本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョルジュ・バタイユ「純然たる幸福」

人は、民衆文化という言葉を用いるときには、一般に最も広まっているが初歩的である文化、接近不可能とみなされている深さを排除している文化のことを考える。人は、文化を民衆の手に届く範囲に置こうとすると、すぐに文化に可能なものの限界を与えてしまい…

ダニエル・コーエン「経済成長という呪い」結論

そうはいっても、かつての農村社会がカロリーに飢えていたように、現代社会は富に飢え続けている。決してたどり着けない地平線に向かって歩き続ける人のように、現代社会は絶えずもっと裕福になりたいのだ。だが、いったんその裕福さを手に入れると、それが…

ダニエル・コーエン「経済成長という呪い」第3部

しかしながら、問題の核心は次の通りだ。人間は、自分たちが理解できない欲望の法則に支配され、自分たちの欲求がきわめて影響されやすいのを認めることができない。そして「将来の所得増」を常に願い、たとえ実際に増加しても決して満足しない。なぜなら、…

ダニエル・コーエン「経済成長という呪い」第1部

貨幣の存在によってつくり出される新たなシンタクスの人類学的な意味は、ミッシェル・アグリエッタとアンドレ・オルレアンが見事に説明している。貨幣のない社会では、直接的つながりしかない。たとえば、コミュニケーションの専門家ポール・ワツラウィック…

ダニエル・コーエン「経済成長という呪い」第1部

われわれ人間は文明の推移に従い、社会の決まりを変える。家族関係や生殖方式は変更可能であり、自分たちの暴力を(しばしば)婉曲的に表現できる。しかしながら、ジョルジュ・バタイユは次のように看破した。「われわれは、自分たち自身でつくった決まりを不…

ダニエル・コーエン「経済成長という呪い」序論

人間の欲望はすべての富さえ消費しようとする。ルネ・ジラールはこう記している。「人間は、基本的生活にかかわる欲求を満たすと、あるいはそれ以前の段階であっても、激しい欲望をもつようになる。だが、何が欲しいのかは自分でもわからない。なぜなら、人…