本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

中島義道「人間嫌い」のルール

したいことをしない人生はつまらない。なぜ多くの人は、どうせ死んでしまうのに、したいことをしないのであろう?安全な人生を歩もうとするのであろう?もちろん、したいことをした結果、刑務所にぶち込まれるかもしれない。飢え死にするかもしれない。だが…

中島義道「人間嫌い」のルール

世間のうちで生きていくこと、それはたえまなく「したくないこと」をしなければならないことである。だが、これはそれ自体美徳ではなく、社会が滅亡しないための——それだけのための——必要悪である。だから、社会の存続をそれほど重視しない人間嫌いにとって…

中島義道「人間嫌い」のルール

人間嫌いは、あらゆる人間からの独立を目指すと同時に、あらゆる土地、風土、故郷からの独立を目指す。私もそうであるが、本質的にデラシネ(根無し草)なのだ。自分の故郷、自分の通った小学校、自分の学んだ大学などに強い郷愁を覚える者は、人間嫌いという…

中島義道「人間嫌い」のルール

というわけで、(ニーチェの考察を深めて考えれば)同情は四重の非道徳的行為である。(1)同情を求める卑劣なルサンチマンとの共謀行為であるゆえに、(2)相手を見下しているゆえに、(3)それにもかかわらず見下していないと自分を欺くゆえに、そして(4)その結果…

中島義道「人間嫌いのルール」

いかなるものに対して共感すべきかは共同体の有する倫理的風土であって、その風土の中で個人の共感能力は形成される。しかも、これは理詰めではなく、きれいごとではない。与えられた共同体のうちで期待される共感のスキルと態度が、個々人のからだに容赦な…