本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「ヤバい経済学」第2章

  取引の一方がもう一方よりもたくさん情報を持っているということはよくある。経済学者の専門用語でこれを情報の非対称性と言う。私たちは、誰か(普通は専門家)が他の誰か(普通は消費者)よりもよくわかっていることが資本主義ではよくあると思っている。でも実際は、あらゆるところでインターネットが情報の非対称性に致命的な打撃を与えている。

  インターネット上では情報が通貨だ。情報を、持つ人から持たざる人へ伝達する媒体として、インターネットは素晴らしく効率的である。定期生命保険料がそうだったように、情報はあってもてんでばらばらだったりすることもある(そういうときインターネットは、数えきれないほどの干草の山から針を次々と吸いつけていくばかでかいU字磁石みたいな働きをする)。ステットソン・ケネディが、ジャーナリストもいい子ちゃんぶった社会派も検察官もできなかったことをやってのけたように、インターネットは消費者保護団体にはできなかったことをやってのけた。専門家と一般人の格差を大幅に縮めたのだ。

 

望月衛 訳