リルケ「若き詩人への手紙」
それから再び孤独についてお話ししますと、人が選んだり、手放したりすることのできるものは、本当のところつまらないものだということが、ますます明らかになってきます。私たちは孤独なのです。それをごまかして、あたかもそうでないかのように振舞うこともできます。しかしそれだけです。それに引きかえ、私たちが孤独であることを明察し、いや、むしろそこから出発する方がどれだけよいことか知れません。めまいを覚えるということも、もちろんあるかも知れません。なぜなら、私たちがふだんそこに眼を休ませていたすべての点が私たちから奪い去られ、もう近くには何もなく、遠くのものは無限に遠いのですから。
高安国世 訳