本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

ホセ・マルティ 「黄金時代」

自由というのは、すべての人が誠実に、嘘偽りなく考え、話す時に持つことができる権利です。ラテンアメリカでは、誠実であることも、考えることも、話すことも出来ないで来ました。考えていることを秘密にしたり、それを、思い切って言おうとしなかったりする人は、誠実な人ではありません。政府が良いものとなるように動かないで、悪い政府に服従する人は誠実な人ではありません。不当な法律に、何も考えることなく服従し、手ひどく人を扱うような人々が、祖国に土足で踏み込むのを許す人は、誠実な人ではありません。子供は考えることが出来るようになったならば、見るものすべてを考えなければならないし、誠実に生きることが出来ないすべての人のために、苦しまなければなりません。そして、すべての人が誠実になれるように働かなければなりません。自分自身が誠実な人にならなければならないのです。

 

加藤恵子 訳
*「黄金時代」→1889年ニューヨークで発刊されたスペイン語圏の子供のための月刊誌