本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

ビクター・マイヤー=ショーンベルガー ケネス・クキエ 「ビッグデータの正体」第9章 第10章

原子力からバイオまで多くの分野に言えることだが、人類は最初にツールを作り出し、やがてそれが我々に害をもたらしかねないことに気付く。その後、ようやく安全確保の仕組みづくりに乗り出す。ビッグデータも、絶対的な解決策のない難題をいずれ我々に突きつけることになる。世の中をどう統制するのかという永遠の課題だ。


ビッグデータは、意思決定、運命、正義といった要素まで一からの見直しを我々に突きつける。さまざまな根拠を背景に成り立っているはずの世界観が、圧倒的な相関関係によって脅かされている。知識を身に付けることとは、かつては過去を知ることだった。ところが、未来を予測する能力に取って代わられようとしている。

 

斎藤栄一郎 訳