本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

スタンダール「赤と黒」

《おれは真実を愛した……それはどこにあるのだ?……どこを見ても偽善ばかり、少なくともぺてんばかりだ。どんな碩徳の士も、どんな偉人も、例外ではない》ジュリアンの唇は嫌悪の情にひきつった……《そうだ、人間は人間を信頼することができない。

 

大岡昇平・古屋健三 訳