本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

老子訳注

天下の至柔は

天下の至堅を駆騁る。

有る無きもの 間無きに入る

吾是を以て無為の益有るを知る。

不言の教え、

無為の益には、

天下之に及ぶもの希し。

 

天下でもっとも柔弱なものは、もっとも堅強なものの中をくぐって行ったり来たりできる。この見えない力は、すきまのないところにも入ってゆける。わたしはこのことで無為のすばらしさを認識する。「不言」の教えと、「無為」のすばらしさとには、何ものもかなわない。

 

坂出祥伸・武田秀夫 訳