本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

フェルナンド・ペソア「不安の書」

  自分を見つけたとしても、わたしは自分を失い、信じたとしても疑い、もしも手に入れたとしても、所持していない。散歩しているかのように眠るが、わたしは目覚めている。眠っているかのように目覚め、それに自分が自分でない。生きるとは結局、それ自身大きな不眠であり、われわれの考えたり、したりするすべてには、意識清明な突然の目覚めがある。

 

高橋都彦 訳