本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

トルストイ 「アンナ・カレーニナ」第4編

ぼくは自分の考えや仕事は大いに高く買ってはいる、だが、実際のところ、考えてみてくれよ、我々のこの世界なんて——小さな遊星の上に生えたほんのかびにすぎないじゃないか。それなのに、我々はこの世界に、何か偉大なものが——思想とか事業とか——存在し得るなどと考えている!そんなのはみんな砂粒みたいなものなのに。

 

中村融 訳