グスターボ・アドルフォ・ベッケル 「ベッケル詩集」70
何の夢を見たのかすら分からない
昨夜のことだ。
悲しい、とても悲しい夢だったにちがいない、
目ざめたあとも僕は苦しかったから。
身を起こし、気づいた
枕がぬれていた、
そしてそれに気づいた時に、はじめて感じた、
魂が苦い歓びに満ちるのを。
涙をしぼりだす
夢は悲しい。
でも、僕は悲しみのなかに歓びを覚えた……
まだ僕に涙が残っていると知ったのだ!
山田眞史 訳
何の夢を見たのかすら分からない
昨夜のことだ。
悲しい、とても悲しい夢だったにちがいない、
目ざめたあとも僕は苦しかったから。
身を起こし、気づいた
枕がぬれていた、
そしてそれに気づいた時に、はじめて感じた、
魂が苦い歓びに満ちるのを。
涙をしぼりだす
夢は悲しい。
でも、僕は悲しみのなかに歓びを覚えた……
まだ僕に涙が残っていると知ったのだ!
山田眞史 訳