J.R.ヒメネス 「プラテーロとわたし」小川
おまえはどうか知らないが、幼い頃の空想というものは、なんとすばらしい魅力だろうね、プラテーロ!それはみな、たのしい変化を見せながら、遠ざかり、また近づいてくる。心に浮かぶ幻想の絵のように、すべてが見えたかと思うと、また見えなくなる……
そして、人びとは人生の裏も表も眺めながら、それでいて、なかば盲目のように歩み、ときどき心の暗がりの中に、人生の苦しい思い出を捨てているのだ。あるいはまた、太陽に向かって開く花のように、明るく照らし出された塊から詩を生み出しながら、ふたたび思い出すこともできない真実の岸辺に、その詩をおきわすれているのだ。
伊藤武好 伊藤百合子 訳