本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

2018-12-01から1日間の記事一覧

フェルナンド・ペソア「不安の書」

それが存在するからこそ、ないものを愛する人と、それが存在しないからこそ、あるものを愛する人との間で、裁定も勝利もない戦いがこの世では永遠に行なわれるだろう。それが死を免れないからこそ死を免れないものを嫌う人と、それが死なないのを望むからこ…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

もしもいつかしっかりと安定した生活を得て自由にものを書き発表できるようになれば、ろくに書けず発表もしない、この不安定な生活が間違いなく懐かしくなると自分でも承知している。懐かしくなるのは、その月並な生活が過去のもので、もう二度と経験しない…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

すべてがわたしのなかで混じり合う。回想していると思うと、考えているのは別のことだ。見るならば、何も見ていず、ぼんやりしていると、はっきり見える。 高橋都彦 訳