本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

スタンダール「赤と黒」

《これで、おれの地位とまったく反対の側をみたわけだ。おれには、二十ルイの年収すらないのに、一時間に二十ルイも収入のある男ととなりあわせでいて、しかもそいつのほうが馬鹿にされたのだ……こんな光景を目撃すると、羨望の心も消えてしまう》

 

大岡昇平・古屋健三 訳