名と身と孰れか親しき。
身と貨と孰れか多し。
得ると亡うと孰れか病なわん。
是の故に
甚だ愛めば必ず大いに費え、
多く蔵えれば必ず厚く亡う。
足ることを知れば辱しめられず、
止まるを知れば殆うからず、
以て長久なる可し。
名声と生命とではどちらがより身近か。生命と財産とではどちらがより重要か。得ることと失うこととではどちらがより有害か。このことから惜しみすぎるとかならずより多くの散財を招き、豊富に貯蔵すればかならずひどい損失がある。満足することを知れば、辱しめにあわずにすみ、適当にとどめることを知れば、危険にあわずにすみ、いつまでも安全にいられる。
坂出祥伸・武田秀夫 訳