老子訳注
企つ者は立たず。
跨ぐ者は行かず。
自ら見る者は明らかならず。
自ら是とする者は彰れず。
自ら伐る者は功無し。
自ら矜る者は長かず。
其の道に在る也、
余食贅行と曰う、
物或に之を悪む、
故に道有る者は処らず。
かかとをあげて高く立とうとすれば、かえってしっかり立っていられない。大またで歩くならば、かえって早く行けない。自分の目だけにたよるならば、かえってはっきりと見られない。自分が正しいとするならば、かえって是非がはっきりしない。みずから誇るのは、成功しない。うぬぼれておれば、導くことはできない。(以下のことは)「道」の原則から考えると、残飯や余計なこぶだというしかなく、だれもがそれを嫌うから、「道」を得た人はそういうことに満足しないのである。
坂出祥伸・武田秀夫 訳