本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

マルサス「人口論」第1章

・・・人口が増える力は、土地が人間の食糧を生産する力よりもはるかに大きい。

  人口は、何の抑制もなければ、等比級数的に増加する。生活物資は等差級数的にしか増加しない。いささかでも数学の素養があればわかるはずだが、前者の増え方は後者に比べると相当なものである。

  人間が生きるためには食物が必要というのが自然の法則だから、人口と食糧は伸び率が異なっても結果的にはバランスがとれるにちがいない。

  それはどういうことかというと、生存の困難が人口の増加をたえず強力に抑制するのである。この困難は人類のある部分にふりかからざるをえず、そして必然的にそれは人数が多い部分にきびしくのしかかる。

 

斉藤悦則 訳