本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

ナタリー・バビット「時をさまようタック」

  土地をもつということは、考えてみればおかしいことだ。いったい、どのくらい深くまでもつことになるのだろう。ある人が土地をもったとしよう。その人は土地のずっと下まで、つまり、地球の中心ですべての土地がひとつになっているところまで、もつことになるのだろうか。それとも、ごくうすい表面だけをもつことになるのだろうか。その下で仲よしの虫たちが行ったり来たりしても、不法侵入だなんて心配しなくてもいいように。

 

小野和子 訳