本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

レイ・カーツワイル「ポスト・ヒューマン誕生」第1章

  未来では技術的になにが実現可能かという長期予報がいくつも立てられているが、その多くは、未来にはものごとがどれほどの勢いで進展するかを過小評価している。そうなるのは、我流の用語で言うと、「歴史的指数関数的」展望ではなく、「直感的線形的」展望に基づいた予想をしているからだ。次章で説くことになるが、わたしのモデルを見れば、パラダイム・シフトが起こる率が10年ごとに2倍になっていることがわかる。こうして、20世紀の間、進歩率が徐々に高まり、今日の率にまでなるに至った。20世紀の100年間に達成されたことは、西暦2000年の進歩率に換算すると20年間で達成されたことに相当する。この先、この西暦2000年の進歩率による20年分の進歩をたった14年でなしとげ(2014年までに)、その次の20年分の進歩をほんの7年でやってのけることになる。別の言い方をすれば、21世紀では、100年分のテクノロジーの進歩を経験するのではなく、およそ2万年分の進歩をとげるのだ(これも今日の進歩率で計算する)。もしくは、20世紀で達成された分の1000倍の発展をとげるとも言える。

小野木明恵 訳  


*指数関数的  定数を掛けることで繰り返し拡大する
   線形的        定数を足すことにより繰り返し拡大する