本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

ミュッセ 「世界詩集」(講談社)より

       悲しみ

力も 生命も 失った、
友だちも 陽気さも、
自分こそ天才と思いこんでいた
あの誇りさえも。

 

「真理」を知ったとき
仲間と思ったものだった
知ってしまい わかってしまうと
もう鼻についていた。

 

とは言うものの「真理」は不滅
「真理」に何の用もなかった人は
この世で 何も知らずに過ごした人。

 

神が話しておられる、答えねば。
一つだけ残ったのです よいことが、
つまり ときには涙にくれたこともあるのです。

 

小池健男 訳