本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

トルストイ 「アンナ・カレーニナ」第7編

つまり、彼女が彼に嫉妬したのは、どこかの女のためではなくて、彼の愛情の減少に対してだったのだ。嫉妬の対象はまだもっていなかったので、彼女はそれを探しだそうとした。そしてほんの些細な暗示ででも自分の嫉妬の対象を次々と移した。

 

中村融 訳