グスターボ・アドルフォ・ベッケル 「ベッケル詩集」11
当てずっぽうに放たれ
空を駆け横切りゆく矢、
どこに揺れながら突き刺さるのか
知りようもない。
嵐が木から
もぎとる枯葉、
どこの溝で塵に戻るのか
誰も言えはしない。
風が海に巻き上げ
押しゆく大波、
転がり過ぎゆき
どこの浜辺を目ざし進んでいるのか分からない。
揺らめく輪をなしてきらめき
今にも消えようとする光、
そのうちのどれが最後まで燃え残るのか
知りようもない。
それが僕だ、あてどなく
世界を横切ってゆく、
どこから来たのかも、どこへ僕の歩みが
僕を連れていくのかも思うこともなく。
山田眞史 訳