本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

グスターボ・アドルフォ・ベッケル 「ベッケル詩集」58

  今日は昨日のよう、明日は今日のよう、
そして永久に同じ!
灰色の空、果てしない地平線
そして歩く……歩く。 

 

  間の抜けた機械のように
拍子を刻んで動く心臓。
とんまな知性は
脳の片隅で眠ったきり。

 

  天国を願い望む魂は
信仰もなく これを求める。
目的もないままの疲労、なぜとも
知らずに転がりゆく波。

 

  同じ歌を同じ調子で
休むことなくうたう声。
絶えまなく落ちては落ちる
単調な水の滴。

 

  こうして日日はすべりゆく
あとからあとから、
今日は昨日と同じこと……そしてすべての日日が
歓びも苦しみもなく。

 

  ああ! 時には僕は懐かしむ、ため息をつきながら
昔の悲嘆を!
苦悩はつらいさ、しかし
悩みですらも生きている証!

 

山田眞史 訳