本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

トーマス・セドラチェク 「善と悪の経済学」第5章

おそらく近代という時代の最も顕著な特徴は、「なぜ」よりも「どうやって」が重視されるようになったことだろう。言うなれば、本質よりも方法が重要になった。そして世界から神秘のベールを剥ぎ取り、機械論や数学や決定論や合理主義の衣装でくるもうとし、実証的に確かめられない原理、たとえば信仰や宗教といったものを一掃しようと試みた。だが残念ながら、そうした姿勢で臨んでみても、やはり世界の秘密は今日にいたるまで解かれておらず、信仰や信念なしには機能しない。

 

村井章子 訳