本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

ニコラス・G・カー 「オートメーション・バカ」第4章

  グーグルや、他のソフトウェア会社はもちろん、われわれの生活を楽にする事業を行っている。それをわれわれが求めているのであり、だからこそわれわれはこれらの社会を支持している。だが彼らの作るプログラムが、われわれの思考の代行に熟達するにつれ、当然われわれは自分の知性よりも、ソフトウェアのほうに頼るようになってしまった。精神を生成作業に駆り立てることも少なくなった。そうなると最終的にわれわれは、学ぶことも知ることも少なくなってしまう。能力も減っていく。現代のソフトウェアに関し、テキサス大学のコンピュータ科学者ミハイ・ナディーンが述べるように、「インターフェイスが人間の活動を肩代わりすればするほど、新しい状況に対するユーザーの適応性は下がる」。生成効果に代わって、コンピュータ・オートメーションは逆のものをわれわれに与えた——脱生成効果
(degeneration effect)である。

 

篠儀直子 訳