本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

フランコ・カッサーノ 「南の思想」カッサーノへのインタビュー

  最初の前提として、各地域・各社会が自律的にその発展を考えなければなりません。例えば、南は北が自分の将来である、したがって自分が「まだ北になっていないもの」と考えるのをやめなければなりません。このような自己表象はニュートラルではなく、その反対に、南の服従の結果であって、南が自分で自分自身のことを考える能力の喪失をあらわすのです。南の将来としての北という表象は間違いですが、それにはすくなくとも二つの理由が挙げられます。第一に、われわれの世界を平等な主体のあいだに起きる自由の競争、つまり、だれにでもトップに登ることを可能にする競争という理念によって規定することが、まったく真実に反しているからです。先に進んでいる人はあらゆる手段を使ってその優位を守り、その優位を脅かそうとする人の走行を妨げようとします。例えば、先ほどの話もそうですし、発展途上国や世界の南の国に対する、先進国の保護貿易政策を思い出していただきたいですね。第二に、南の文化的隷属は、何としても拒否すべきだからです。なぜかというと、それぞれの国は、それぞれの伝統と独自の創造的な方法とを基にして、それぞれの特性に適した発展の道を探さなければならないからです。

 

ファビオ・ランベッリ 訳