本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

五木寛之 「大河の一滴」

  考えてみると十九世紀来、われわれはものすごく傲慢だった。その傲慢ななかで、ぼくたちは大きな過ちを犯しつづけてきたのではないでしょうか。ぼくたちは自分たちが地球上のことを全部わかるような気持ちになっていた。でも、本当にわかっていることはごくわずかである。大宇宙の秘密のほんとに一部だけをちらっとかいま見ただけかもしれない。にもかかわらず、私たちが犯した過ちは、ほとんど大部分、九十九パーセントまで見えた、と思ってしまったところにあるのではないか。