本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

中野剛志 「グローバリズムが世界を滅ぼす」より

  ちなみに、新自由主義を採用すると、不思議なことに政権が長続きする。たとえばサッチャー政権、レーガン政権、小泉政権です。格差を生み、弱者を増やす新自由主義の政権は、一見、国民の支持を得られずに短命で終わるように思われます。しかし、妙なことに長期政権が多い。
  なぜかといえば、なすに任せよの新自由主義を掲げて選挙に勝ち、政権の座に就いたので、政策の結果がどうなろうと責任を負わなくていいからです。したがって、いくら格差の拡大を責め立てても、政権側は「自己責任ですから」と言い逃れる。あるいは、「市場原理ですから。政府は何もできないので、仕方がないのです」と弁明する。選挙民としては政権を批判する口実を失ってしまうのです。