本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

エマニュエル・トッド 「グローバリズムが世界を滅ぼす」より

  自由貿易が生み出す根本の問題は、経済活動の実践の仕方である前に、一つのイデオロギーです。どういうことかというと、企業が、自分たちは国内市場のために生産するのではなく、外部市場のために生産するのだという考えに傾いていくのです。
  こうした状況では、輸出貿易をめざす国の企業は、その当然の傾向として、また正当な傾向とさえいえると思いますが、だんだんと賃金を純粋なコストと見なすようになります。賃金は内需に貢献する要素であることをやめてしまいます。それは純粋なコストとなり、すると企業は、賃金コストの削減に入っていきます。