本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

リルケ 「リルケ全集第3巻」

詩人


時間よ、おまえは 私から遠のいていく。
おまえの羽ばたきが 私に傷を負わすのだ。
いまは孤独、私の口を 私の夜を
そして私の昼を 私はどうしたらいいのか?

 

私には 恋人もいなければ 家もない
私の生きていく場所もない。
すべての事物に 私が着手すると、
事物は 豊かになって 私を手放してしまうのだ。

 

塚越敏