本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

名本光男 「ぐうたら学入門」第2章

  人類学の研究では、人間の生活パターンを「タイム・ミニマイザー」と「エナジー・マキシマイザー」という二つの類型に分けることができるという説が提唱されている。
  タイム・ミニマイザーとは、食糧を手に入れるのにかける時間を最小限にして、残りの時間をほかの活動にあてようとする生活パターンのことをいう。対して、エナジー・マキシマイザーとは、ほかの活動を犠牲にしても、できるだけ多くの食糧やエネルギーを手に入れようとする生活パターンである。
  つまり、エナジー・マキシマイザーとは、物質的な豊かさを徹底的に追求するために骨身を削って「勤勉」に働き続ける生活パターンのことであり、先進国に生きる私たちのことをいっているのは明らかであろう。一方のタイム・ミニマイザーとは、働く時間をできるだけ少なくして楽しく暮らす、いわゆる「ぐうたら」な生活パターンのことだ。