本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

J.R.ヒメネス 「プラテーロとわたし」清らかな夜

  私の心にひそむ力は、なんと私を高めてくれるのだろう!私はまるで、自由の鐘をかざした素朴な石の塔になったようだ。ごらん!空いっぱいの星を!あんまりたくさんあるので、目がくらんでしまう。大空は、子どもたちの世界のようだ。それは理想の愛に光りかがやくロザリオの祈りを、地上に向ってささやいている。
プラテーロ、プラテーロ!孤独で、明るく、きびしい夜、高く澄みきった一月のこの清らかな夜のために、私はいのちを捧げてもいい。むろんおまえだって、そうしてくれるだろうと私は思っている。

 

伊藤武好 伊藤百合子 訳