本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

2019-03-14から1日間の記事一覧

スタンダール「赤と黒」

今日私が賢いのは、当時気違いじみていたからである。おお、この瞬間にしか眼をとめない哲学者よ、君はなんという近視眼者か!君の眼は、情熱の隠れた働きを追うようにはつくられていない。 W・ゲーテ 大岡昇平・古屋健三 訳

スタンダール「赤と黒」

野心が生み出したさまざまの望みを、《おれは死ぬのだ》という由々しい言葉で、ひとつひとつ心からもぎとらなければならなかった。死そのものは、とくに恐ろしいとは思わなかった。これまでの人生は、すべて不幸にたいする長い準備に費やされてきた。そんな…