本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

2018-12-05から1日間の記事一覧

フェルナンド・ペソア「不安の書」

愛、睡眠、麻薬、麻酔薬は芸術の基本的な形、つまり芸術と同じ効果を生み出す。しかし愛、睡眠、麻薬にはどれも幻滅させられる。愛には飽きを感じ、幻滅する。睡眠からは目覚め、眠ってしまえば生きなかったことになる。麻薬は、刺激を受けたあの同じ肉体が…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

もしある人が酔っているときしか、よい文が書けないなら、言ってやろう。酔いなさい、と。さらに、肝臓がそれでは弱るというのなら、答えてやる。あなたの肝臓とは何なのか? あなたが生きているあいだだけ、生きている物にすぎず、あなたの書く詩はずっと生…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

芸術は行動や生活からの逃避だ。芸術は、感情を意志的に表現したものである生活とは違って、感情を知的に表現したものだ。持っていないものや、持とうという勇気のないものや、手に入れられないものを夢で手に入れることができ、その夢で芸術を創る。ときに…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

古典的な理想の衰退により、誰もが潜在的な芸術家になり、したがって悪い芸術家になった。芸術の基準が堅固な構築物、規範の注意深い遵守だったとき、芸術家たらんとする者は少なく、その大部分は優れていた。しかし、芸術が創造と考えられなくなり、感情表…