本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

老子訳注

敢てするに勇なれば、則ち殺され、 敢てせざるに勇なれば則ち活く。 此の両つ者或は利あり或は害あり。 天の悪む所、 孰か其の故を知らん。 是を以て聖人すら猶之を難しとす。 天の道は 争わずして而も善く勝ち、 言わずして而も善く応え、 召かずして而も自…

老子訳注

知られざるを知るは上なり、 知られざるを知らず病なり、 夫れ唯病を病とす、 是を以て病あらず。 聖人は病あらず、 其の病を病とするを以て、 是を以て病あらざるなり。 自分の無知を自覚するのが、最高なのだ。自分の無知に気づかない、それこそが欠点なの…

老子訳注

名と身と孰れか親しき。 身と貨と孰れか多し。 得ると亡うと孰れか病なわん。 是の故に 甚だ愛めば必ず大いに費え、 多く蔵えれば必ず厚く亡う。 足ることを知れば辱しめられず、 止まるを知れば殆うからず、 以て長久なる可し。 名声と生命とではどちらがよ…

老子訳注

天下の至柔は 天下の至堅を駆騁る。 有る無きもの 間無きに入る 吾是を以て無為の益有るを知る。 不言の教え、 無為の益には、 天下之に及ぶもの希し。 天下でもっとも柔弱なものは、もっとも堅強なものの中をくぐって行ったり来たりできる。この見えない力…

老子訳注

天下の至柔は 天下の至堅を駆騁る。 有る無きもの 間無きに入る 吾是を以て無為の益有るを知る。 不言の教え、 無為の益には、 天下之に及ぶもの希し。 天下でもっとも柔弱なものは、もっとも堅強なものの中をくぐって行ったり来たりできる。この見えない力…

老子訳注

人を知る者は智なり、 自らを知る者は明なり。 人に勝つ者は力有り、 自ら勝つ者は強し。 足るを知る者は富み、 強めて行う者は志有り、 其の所を失わざる者は久しく、 死して而も亡びざる者は寿し。 他人を理解する者を智といい、自己を理解する者こそ明で…

老子訳注

企つ者は立たず。 跨ぐ者は行かず。 自ら見る者は明らかならず。 自ら是とする者は彰れず。 自ら伐る者は功無し。 自ら矜る者は長かず。 其の道に在る也、 余食贅行と曰う、 物或に之を悪む、 故に道有る者は処らず。 かかとをあげて高く立とうとすれば、か…

老子訳注

「曲がれば則ち全く、 枉まれば則ち直く、 洼めば則ち盈ち、 敝るれば則ち新たなり、 少なければ則ち得、 多ければ則ち惑う」と。 是を以て、 聖人は一(道)を抱いて天下の式と為す。 自ら見ず、 故に明らかなり。 自ら是とせず、 故に彰る。 自ら伐らず、 故…

老子訳注

太上は、下之有るを知るのみ、 其の次は親しみて之を誉め、 其の次は之を畏れ、 其の次は之を侮り、 信足らざれば、 信ぜられざること有り。 悠かなる兮、其れ言を貴び、 功成り事遂げて、 百姓皆謂う、「我は自然なり」と。 もっともよい支配者、人びとはそ…

老子訳注

天下皆美の美たるを知る、 斯れ悪なり矣。 皆善の善たるを知る、 斯れ不善なり矣。 故に 有無相生じ、 難易相成り、 長短相形れ、 高下相傾き、 音声相和し、 前後相随う。 天下の人びとはみな、どのようであれば美しいとされるかを知り、そこに醜いというこ…

フェルナンド・ペソア「ポルトガルの海」

感じるとは なにものかに神経を集中しないでいることだ。 「わたしが一冊の」より

フェルナンド・ペソア「ポルトガルの海」

腕を掴むな 掴まれるのは嫌いだ 一人だけでいたいのだ 一人だけでだ 忘れるな 仲間に這入れなどと言われるのは遣り切れない 「Lisbon Revisited」より

フェルナンド・ペソア「ポルトガルの海」

ただ一人で生きることは楽しく 単純に生きることは常に 偉大にして高貴だ 「己れの運命を」より

フェルナンド・ペソア「ポルトガルの海」

なにであれ存在すれば それだけで完全なのだ 「事物の驚嘆すべき」より

フェルナンド・ペソア「ポルトガルの海」

この世界の不幸はすべてわれわれが 善意であれ悪意であれ 他人のことを気にするために生まれるのだ 魂と天と地 これだけあればわれわれは充分だ それいじょうを望むことはこうしたものを失うことだ 不幸になることだ 「昨日の夕暮れ」より

フェルナンド・ペソア「不安の書」

死は解放だ、なぜなら、死ぬのは他人を必要としないからだ。哀れな奴隷は喜びや悲しみや望ましい持続する生活から否応なしに解放される。王は離れがたい領地から解放される。愛を広めた女たちは好んだ勝利から解放される。征服した者たちは自分の人生を運命…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

自由とは孤立の可能性なのだ。もしおまえが人から離れることができ、金銭の必要性や群れを作る必要や愛や栄光や好奇心のために人を捜し求めなくてもすむなら、おまえは自由だ、なぜなら、そうしたものはどれも、静寂や孤独のなかでは栄えないからだ。もしも…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

今日の生活では、世界は愚か者、愚鈍な者、興奮した者だけのものだ。生きて勝利する権利は今日、精神病院へ収容されるのとほぼ同じ経過によって獲得される。思考能力の欠如、道徳観念の欠如、過度の興奮だ。 高橋都彦 訳

フェルナンド・ペソア「不安の書」

「すべてを延期せよ。明日もしなくてすむことは今日けっしてすべきではない。実際、明日でも今日でも何もする必要はまったくないのだ」 高橋都彦 訳

フェルナンド・ペソア「不安の書」

普通、知らないものを考えるとき、われわれは知っているものの概念で色をつける。もしも死を眠りのひとつと呼べば、外観が眠りに似ているからだ。死をひとつの新しい生と呼べば、生とは異なるもののように見えるからだ。現実をいささか誤解して、われわれは…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

日々わたしは〈物質界〉に虐待されている。わたしの感性は風に吹かれる炎だ。 高橋都彦 訳

フェルナンド・ペソア「不安の書」

あらゆる思考は、言葉で表現されたとたん、他人のものになり、それを理解する者には理解できるものになり、堕落したように思われる。 高橋都彦 訳

フェルナンド・ペソア「不安の書」

愛、睡眠、麻薬、麻酔薬は芸術の基本的な形、つまり芸術と同じ効果を生み出す。しかし愛、睡眠、麻薬にはどれも幻滅させられる。愛には飽きを感じ、幻滅する。睡眠からは目覚め、眠ってしまえば生きなかったことになる。麻薬は、刺激を受けたあの同じ肉体が…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

もしある人が酔っているときしか、よい文が書けないなら、言ってやろう。酔いなさい、と。さらに、肝臓がそれでは弱るというのなら、答えてやる。あなたの肝臓とは何なのか? あなたが生きているあいだだけ、生きている物にすぎず、あなたの書く詩はずっと生…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

芸術は行動や生活からの逃避だ。芸術は、感情を意志的に表現したものである生活とは違って、感情を知的に表現したものだ。持っていないものや、持とうという勇気のないものや、手に入れられないものを夢で手に入れることができ、その夢で芸術を創る。ときに…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

古典的な理想の衰退により、誰もが潜在的な芸術家になり、したがって悪い芸術家になった。芸術の基準が堅固な構築物、規範の注意深い遵守だったとき、芸術家たらんとする者は少なく、その大部分は優れていた。しかし、芸術が創造と考えられなくなり、感情表…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

世界の支配はわれわれ自身のうちで始まる。世界を支配する者は誠実な者ではなく、また不誠実な者でもない。人工的で自動的な手段により真の誠実さを自分に作る者だ。その誠実さが彼の力になり、これが他人の虚偽性の低い誠実さを前にして光を放つ。うまく自…

フェルナンド・ペソア「不安の書」

わたしはと言えば、死人を見ると、死は旅立ちのように思われる。亡骸は残された衣服という印象がする。誰かが立ち去り、着ていたあの一張羅の服を持っていく必要がなかったのだ。 高橋都彦 訳

フェルナンド・ペソア「不安の書」

われわれは内面を見るとき以外は、誰もが近視だ。ただ夢だけが見るとき見えるのだ。 高橋都彦 訳

フェルナンド・ペソア「不安の書」

人生は無意識に行なわれる実験的な旅だ。心が物質を通りぬける旅であり、心が旅をするので、心のなかで生きられる。したがって、外面的に生きた人よりもいっそう激しく、いっそう広く、いっそう騒がしく生きた黙想的な人がいる。結果がすべてだ。感じられた…