本を掘る

これまで読んだ本から一節を採掘していきます。化石を掘り出すみたいに。

リチャード・バック「かもめのジョナサン」

ほとんどのカモメは、飛ぶという行為をしごく簡単に考えていて、それ以上のことをあえて学ぼうなどとは思わないものである。つまり、どうやって岸から食物のあるところまでたどりつき、さらにまた岸へもどってくるか、それさえ判れば充分なのだ。すべてのカ…

L.M.モンゴメリ「詩集 夜警」

選択人生よ 蒼白い色や灰色の身なりで私の所へ来ないでくれ そんな地味な衣装のお前は好まない 人生よ 喜びと悲しみを広く共にしたい 喜びと苦悩に満ち溢れた お前の深さを測り お前の最高の感情にまで行き着こう百姓家にお前と留まるにしろ 宮居にお前と留…

L.M.モンゴメリ「詩集 夜警」

詩人の想い 想いは 虹の夢の中に詩人に現われた 賢者の知恵と生まれた詩霊と情熱とを交えて 朝の如く輝く言葉で その想いを閉じ込めた そして 今 その想いは光る宝石となって 幾歳月もの間 光り輝く 吉川道夫 柴田恭子 訳

L.M.モンゴメリ「詩集 夜警」

遺産 私の友は私から去っていった 闇から完璧な光の中へ だが 素晴らしき遺産を残して 私の心はそれを長く持ち続けるでしょう—— 静かで 明かるい大きな理想と 奉仕のための希望の歌を 汚れなき純真な信仰心と 喜びの美しい思い—— これを私の友は私に残してい…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「超ヤバい経済学」第5章

新しいアイディアの中には、どれだけ便利であろうが、反感を買わずには済まないものがある。すでに書いたように、人間の臓器の市場は——あれば毎年何万人もの命が救われるかもしれないのに——そういう例の一つだ。 時間とともに、そういうアイディアも反感の壁…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「超ヤバい経済学」第4章

すばらしく頭の切れる合理派が、人間の性の核心にある、いかんともしがたい原則にぶつかった。人の振る舞いを変えるのは難しい。ものすごく賢いエンジニアとか経済学者とか政治家とか親御さんとかなら、安くて簡単なお悩み解決法を思いつくかもしれない。で…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「超ヤバい経済学」第3章

経済学者の言葉を借りれば、ほとんどの寄付は不純な思いやり、あるいはちょっとした満足感のための思いやりだ。助けたいから寄付をするというだけでなくて、見栄えがいいからとかいい気分になれるとか、ひょっとすると居心地の悪さが減るからとかで寄付する…

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー「超ヤバい経済学」第3章

寄付はマスコミの報道に大きく左右される。最近行われた、とある学術研究によると、災害救護の寄付は、新聞の報道が700語増えるごとに18%、テレビのニュースでの報道が60秒増えるごとに13%増加する。望月衛 訳

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」おわりに

人類は、ヨーロッパが18世紀以降たどってきた道筋を、精神的には逆方向に走破しなければならない。つまり、世界は無限であるという考え方から、世界は閉じているという考え方への移行だ。こうした努力は、不可能でもないし、ありえないことでもないが、ただ…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第14章

金融市場の場合では、行動様式を均質化させることが規律になっていた。すべての金融関係者がまったく同じことをやろうとしたのだ。信用金庫は銀行になろうとした。商業銀行は投資銀行になろうとした。投資銀行は投機を行なうヘッジファンドになろうとした。…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第9章

経済成長は、政府の財源を膨張させるだけではなく、個人の私的な幸せにも影響をおよぼす。1975年のフランス人は、1945年のフランス人よりも比較にならないほど裕福だが、彼らがより幸せだったというわけではない。なぜだろうか?その答えは単純だ。現代の幸…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第6章

奇妙なパラドックスが、くっきりと浮かぶ上がってきた。高度経済成長により、人々は世代間の絆を持続できると信じるようになった。福祉国家がつくりだした財政面の連帯は、家族と置き換わっていった。というのは、人々はマネーの面で独立するようになると、…

アーネスト・ゲルナー(ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第6章より)

持続的に経済成長する社会は、物質的な改善によって社会的に有害な作用をやわらげてくれる。この理想の非常に大きな弱点は、この理想が社会的な退廃によって資本をすり減らすことでしか存続できず、また、富の象徴が一時的に枯渇する時や、時代の流れが変わ…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第5章

近代社会の労働者は、自分の運命にのしかかる新たな不確実性の奴隷になったのだ。技術進歩は創造的であると同時に破壊的であり、その境界はめまぐるしく変化する。したがって、経済成長が力強い状態にあるかぎりは、社会集団が負う傷口を手当てすることは可…

ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」第3章

経済学にとって、マルサスの法則は「陰鬱な科学」と呼ぶにふさわしかった。フランスのコンドルセなどの啓蒙思想家にとって、貧窮や災いの原因は、「悪い」人間性ではなく、悪い政府にあった。啓蒙思想に傾倒していた父をもつマルサスは、これとはまったく逆…

クリスティーナ・ロセッティ「シング・ソング童謡集」

If a mouse could fly, Or if a crow could swim, Or if a sprat could walk and talk, I’d like to be like him. If a mouse could fly, He might fly away; Or if a crow could swim, It might turn him grey; Or if a sprat could walk and talk, What wo…

クリスティーナ・ロセッティ「シング・ソング童謡集」

If hope grew on a bush, And joy grew on a tree, What a nosegay for the plucking There would be! But oh! in windy autumn, When frail flowers wither, What should we do for hope and joy, Fading together? もし きぼうが しげみにそだつなら そし…

クリスティーナ・ロセッティ「シング・ソング童謡集」

Swift and sure the swallow, Slow and sure the snail: Slow and sure may miss his way, Swift and sure may fail. はやくて たしかな つばめ ゆっくり たしかな カタツムリ ゆっくり たしかでも みちにまよい はやくて たしかでも おちることがある 安藤…

クリスティーナ・ロセッティ「シング・ソング童謡集」

If all were rain and never sun, No bow could span the hill; If all were sun and never rain, There’d be no rainbow still. もし あめばかりで ひのひかりが なかったら おかに にじは かからない もし ひのひかりばかりで あめが なかったら やっぱり …

クリスティーナ・ロセッティ「シング・ソング童謡集」

What are heavy? sea-sand and sorrow: What are brief? to-day and to-morrow: What are frail? Spring blossoms and youth: What are deep? the ocean and truth. なにが おもいの うみのすなと かなしみ なにが みじかいの きょうと あした なにが もろい…

クリスティーナ・ロセッティ「シング・ソング童謡集」

Who has seen the wind? Neither I nor you: But when the leaves hang trembling The wind is passing thro’. Who has seen the wind? Neither you nor I: But when the tres bow down their heads The wind is passing by. だれが かぜを みたかしら わた…

ダニエル・コーエン「経済は、人類を幸せにできるのか?」訳者あとがき

朝日新聞のインタビュー 「経済成長は、人間社会にとって自然なことではない。18世紀までは、経済的、技術的に進歩があっても、それは人口の増加に寄与するだけで、一人あたりの所得を増やすことはなかった」。けれども「(現代人でも)一人一人の幸福は増えて…

ダニエル・コーエン「経済は、人類を幸せにできるのか?」第5章

貿易は、最も脆弱な者を排除し、最も強い者を太らせながら展開する傾向がある。こうして貿易は、最も非効率的な企業を倒産させつつ、全体の生産性を向上させるというわけだ……。しかし残念なのは、これらの新たな理論の枠組みにおいても、失業者全員を救済す…

ダニエル・コーエン「経済は、人類を幸せにできるのか?」第2章

イスラエルの保育園の園長は、子どものお迎えの時間に遅れる親が多いことに手を焼いていた。その解決策として、園長は遅れる親に課金することにした。今後、親は一時間遅れるごとに10ドルを支払わなければならないとしたのだ。ところが、その結果は、期待を…

ダニエル・コーエン「経済は、人類を幸せにできるのか?」まえがき

獲得してもすぐに失われてしまう“幸せ”という目的を、絶えず課してくる社会のパラドックスを、どのように理解すればよいのだろうか。その答えはすぐに浮かんでくる。すなわち、人類はあらゆることに慣れてしまうので、幸せになれないのだ。いかなる進歩を達…

ナタリー・バビット「時をさまようタック」

「死ぬことは、生まれたとたんに約束された車輪の一部なんだよ。すきなところだけとり出して、のこりをほうり出すわけにはいかないだろう。そういう全体の一部になるということは、神さまのお恵みだといってもいいな。ところが、わしの一家は、そのお恵みを…

ナタリー・バビット「時をさまようタック」

「わしたちのまわりにいるものはなにか、わかるかい、ウィニー。」 「生命だよ。うごいて、成長して、変化して、二分とおなじ姿をしていない。この水も、毎朝、こうして見ればおなじ水に見える。しかし、そう見えるだけでおなじでないんだよ。一晩じゅう、う…

ナタリー・バビット「時をさまようタック」

「人生は生きなければならないわ。それが長くても短くても。」 小野和子 訳

ナタリー・バビット「時をさまようタック」

土地をもつということは、考えてみればおかしいことだ。いったい、どのくらい深くまでもつことになるのだろう。ある人が土地をもったとしよう。その人は土地のずっと下まで、つまり、地球の中心ですべての土地がひとつになっているところまで、もつことにな…

タゴール「ギタンジャリ」

95 いのちの しきいを越えて 初めて この世に来たとき 私は知らなかった。 この広大な 神秘の中へ 真夜中の森の 一つの蕾のように わたしを誕生させた力は 何だろうか! 暁の光を 見上げたときすぐに わたしはこの世の よそ者でなく 名前も形もない 不思議な…